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大したことは何も書いていない

7月28日

仕事終わりに同期とラーメンを食べに行く

 

同期は仕事を辞めたいと言った。僕も今年には辞めるよと伝えた

 

そのまま解散は味気ないから、金勝山まで夜景を見に行こうという話になった

 

車を走らせていると先輩から連絡が来て、合流して3人で行くことになった

 

先輩は高卒でうちに入ったので4年ほど年次は上だが、僕と同い年だ。もうすぐ退職するという話は聞いていて、ちょうど今日最後の出勤を終えたらしい

 

同期の車をイオンモールの駐車場の端の方に停めて、先輩の車に乗り込んだ。運転が上手いので、山頂まで乗せてもらうことにしたのだ

 

久しぶりに乗った普通車の後部座席に揺られながら、山頂に着いた

 

見ると、若い大学生のようなグループが花火をしていた

 

夜景と花火の景色がとても美しく見えた

 

「夏をお裾分けしてもらっているな」などと笑っていると「一緒にします?」と誘ってくれた

 

手持ち花火をぱちぱちさせながら、花火なんて何年ぶりだっけかと考えた

 

僕は夜景を見るのが好きだ。街が生きている感じがする

 

街を灯す点が、ひとつひとつ生命の灯火にみえる。確かに私は生きていると、力一杯瞬いている

 

僕の町は夜になると車も人も通らない。街灯だって無いところもある

 

夜になると、町は眠りにつく

 

夜ベッドで横になりながら、世界に僕1人なのではないかという錯覚に陥って眠れなくなることが度々ある

 

僕は夜が嫌いだ。ただ誰かと過ごす場合を除いては

 

すぐに消えてしまう手持ち花火と、いつか明けてしまうこの夜は同じように刹那的で、儚い

 

話してみると大学生グループは会社の同僚グループだったらしい。仕事は何かと聞いたら、環境系と言っていた。かっけえすねと言った

 

日付が変わる少し前、僕らは彼らより先に山を下りる事にした

 

またどこかでと言って別れた。きっと、またもどこかも無いのはお互いわかっているのだけれど

 

先輩と別れて、同期の車の中で少し話した

 

お互いなかなか慣れない仕事の苦痛を吐露した

 

俺たちは悪くないと言い合った。眠気と、夜の街の静寂が僕達の背中を押した

 

エンジンを止めた車内には、眠気覚ましのガムの匂いが充満していた

 

走り出した車は、大津の街を快活に飛ばした。車なんて走っちゃいない

 

橋の上を走る車の窓から顔を出した。真夏の夜の生温い風が頬をなでた