5月14日
信楽と伊賀のアートギャラリーに訪れる
2冊の本を買った。押し花の写真集と白い本だ
生命とは何か。それは絶え間のない流れであり、その流れの上にあやうく成り立つ動的平衡である。あるいはこう喩えることもできる。生命とは、追っ手から逃れるために、必死にこぎ続けられる、ある種の自転車こぎであると。追っ手の名は、「エントロピー増大の法則」。法則は、秩序を少しずつ崩壊しようと常にたくらむ。生命はそれに抗するため、常に自らを更新しようとする。
〝エントロピー増大の法則〟とは簡単に言うと「物事は放っておくと乱雑・無秩序・複雑な方向に向かい、自発的に元に戻ることはない」ということだ。
日常的に目にするような現象を例にあげると
- 拡散した気体は元に戻らない
- 常温に置かれた熱湯は自然に冷めるが、一度冷めた水が勝手に熱湯に戻ることはない
- コーヒーにミルクを入れると自然に混ざるが、勝手に分かれることはない
- 覆水盆に返らず
などが挙げられる
https://jp.dreamscope.me/blog/2021/4/entropyより
私たちの生命におけるエントロピー増大の法則というのは要するに、細胞分裂によって起こる〝テロメア〟の短縮である
〝テロメア〟とはDNAの末端の部分のことであり、細胞分裂を繰り返す事に短くなる。これがある一定の長さより短くなると細胞分裂が出来なくなってしまう。即ち〝死〟だ。このことからテロメアは「命の回数券」と呼ばれている
我々は知らず知らずのうちにテロメアを短縮しながら生き続けているのだ
この長さを測ることで人の寿命がわかると言われている。(大学時代の先生がこれを調べたという話をしていたのを思い出した)
理系的な話はここまでにしておく
私は〝natural〟であることが〝美〟に繋がると考えている
今日学んだ〝エントロピー増大の法則〟こそが〝natural〟の典型だと私は考える
〝エントロピー増大の法則〟とは要するに物事は自然に帰依するということだと私は解釈している
常温環境下において氷は溶けて、水になる。地球の重力下において空中で放されたリンゴは地面に叩きつけられる。枯れた花はもう一度咲くことはない
これらの流れを逆行させることを〝Science〟と言うのだと私は思う
〝natural〟であることを美しいとするのであれば、これらの変化を受け入れることが重要だ
押し花や写真の美しさというのは、〝テロメア〟を閉じ込めている生命性や、〝エントロピー増大の法則〟に逆らう違和感にあると今日の私は考えている